例のインスパイヤ

2010.03.12 Friday 20:00
yoshino




744 名前:例のインスパイヤ/パパイヤ 投稿日:2010/02/15(月) 17:35:58 ID:fdRoNZxX

それから勝は人を通じ、村本の行動を知ろうとするようになった。同じ組にいるのに、相
手にその気が無いので、声がかけられないのである。勿論、村本の事を知りたいので
はなく、彼と行動を共にしている麻奈がどのような生活を送っているのかを確かめたいの
である。情報は断片的に、しかし多く集まった。だが、集まれば集まるほど、勝の精神は
絶望の深遠へと近づいていった。まず、村本と麻奈が男女の関係である事に疑いを差し
挟む余地は無い。二人は休み毎に会い、逢瀬を重ねているという。村本が以前よりもよ
そよそしくなったのは、このせいであろう。偶然にも知り合ったのが級友の妹であった事
に引け目を感じているのか、近頃は目も合わそうとはしなかった。

誰かが話していたヤリ部屋というのは村本の自宅にある離れの事らしかった。村本は親
に無理を言い、母屋を離れてそこで暮らし、素行の悪い仲間もよく集まるという。勝は村
本の家を調べ上げ、その離れへ行ってみる事にした。村本に麻奈の事を尋ねられてから、
一ヶ月が過ぎていた。村本家は住宅街の外れに位置し、背後を竹林に囲まれていた。
そこから向こうは小山になっていて、人の姿はほとんど見られなくなる。ちょうど市境で
開発の難しい場所のせいか、小山を切り開いて宅地化にしようとする雰囲気も無い。

勝はその日、双眼鏡を持って小山へ潜んだ。小高い場所に陣取り、村本の家の離れが
見渡せる体勢を取ってからは、やぶ蚊に刺されるのにも構わず、勝はじっと耐えて噂の
真相を確かめようとしている。自分が家を出る時、麻奈はまだ部屋にいて、出かけるよう
な雰囲気だったので、先回りをしたのである。真夏の時期という事もあり、汗が目に入った
りすると勝は自分は何をしているのだろうと自問した。知ってどうなるのだという思いと、
どうしても知らなければならないという思いが、心の中で混在している。
(来た)
三十分ほど遅れて麻奈はやってきた。派手な服装と化粧も、近頃ではすっかり見慣れて
いた。

離れの扉が開き、村本が麻奈を中へ招き入れると、勝は場所を移動した。離れの裏に回
って、明り取りから中を窺う算段だった。室内に入った麻奈は、ソファベッドに落ち着いて
村本と何か楽しそうに話している。その笑顔は勝の知らない、男へ媚びた笑いだった。

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