double cross 《Satomi-SIDE》 Part01

2010.04.06 Tuesday 18:40
yoshino


「ないない、それはない。ないですって」
「スカートの中、チラ見してたし」
「いや、だって、久坂さんの部屋行くと、先輩フツーにミニスカとかショートパンツなんで。目がいっちゃうでしょ」
「マジで目がイッてた」
「もう、勘弁してくださいよー」

 結婚して2年も経つと、惰性で生活している部分も出てくる。
 黒木くんと昔話をしてると、自由で楽しかった頃を思い出す。
 彼があたしを想ってたこともあって、擬似恋愛的に、しばらく忘れてた軽いときめきを楽しんでる部分もあった。

     ×     ×     ×     ×

 関係が変化したのは、ある飲み会の席で。
 トイレの前ですれ違ったとき、肩を黒木くんにつかまれて、「俺、間に合わなかったですね」っていわれた。
 すごく酔っ払ってたけど、目が真剣だった。
 あたしの知らない、黒木くんの男の子じゃない顔。
 正直、ドキッとした。

 帰りの方角が一緒だったので、タクシーで相乗り。
 佐伯課長から「黒木を頼むよ」といわれるくらい、彼は泥酔していた。
 途中で、「成瀬さん、旦那さんとうまくいってますか?」って聞かれた。

「うん。なんで?」
「俺の入る隙間、ないですか?」
「あったら怖いじゃん」
「……」

 不意に抱きしめられた。

「ちょっと、黒木くん、酔いすぎ」
「……」

 無言で、首筋に指をはわせてくる。
 少し反応して、ビクッとなった。

「先輩」

 “センパイ”に戻ってる。

「先輩のこと……抱きたいです」
「なにいってんだか」

 突き放そうとしたら、逆に顎を引き寄せられて、強引にキスされそうになった。

「怒るよ、もう。タクシーの中だってわかってる?」
「……スイマセン」

 それからどちらも一言も喋らず、ドライバーさんも喋らず。黒木くんが先に車から降りた。
 あたしは、夫以外の男の人から久しぶりに欲望をぶつけられて、ドキドキを止めるのに必死だった。

 それから黒木くんとはギクシャクしてしまって――。

     ×     ×     ×     ×


219 名前:double cross《Satomi-SIDE》 投稿日:2010/03/31(水) 14:11:02 ID:fQlPSnsr [3/4]
 残業では、黒木くんと二人になることが特に多い。
 気まずいし、旦那も残業が続くといい顔しないから、会社には業務を他の人に分散してもらうよう願い出た。

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