double cross 《Satomi-SIDE》 Part01

2010.04.06 Tuesday 18:40
yoshino



 いつも“成瀬さん”と呼ばれているあたしは、彼と二人きりになると“里美”になる。

 黒木くんが好きなのは、予告H。
「今日、○○するよ」と、口頭・メール・電話で事前に告げられる。

 最初は、「今日、写メ撮るよ」がはじまり。
 次は、「顔にかけるから」。
 その次は「おもちゃ使うからね」という具合。
 元カレがあたしにしたことを、必死にトレースしてるんだってわかってる。

 言ったことは、あたしがどんなにイヤがっても必ず実行する。
 予告されるとドキドキして、実際にされることを仕事中でも考えてしまう。
 いつその瞬間が訪れるのか、待ち望んでいるあたしがいる。

 この日の予告は、動画。
 いつものホテルの部屋、黒木くんが用意したビデオカメラの前で、イヤッてほど後ろから突かれた。

「バック、好きでしょ。いいかげん白状しなよ」
「…うん、好き…ヤラれてる気持ちになる…」
「旦那と違う肉棒でヤラれてる」
「いつもそんなことばかりいって」
「久坂さんもこうして里美のお尻の穴見てたんだ」
「もういや。やめてよ」
「こうやって辱められるのが好きななくせに」

 シーツを掻き毟らないと耐えられないほど激しく突かれて、カメラの前で突っ伏して乱れ鳴いた。

 黒木くんは、あたしが後ろが好きだって今も思い込んでいて、すごくこだわっている。
 本当は別に好きじゃなかった。もっと密着するのがよかった。
 でも、黒木くんの前で四つんばいになって旦那のことで責められると、やっちゃいけないことをしてる気持ちが高まる。
 いつの頃からか、ホントに後ろから犯されるのが好きになってた。
 彼は、あたしに恋してるというより、学生時代の復讐みたいにあたしを弄ぶ。
 きっと当時もこうして、想像の中であたしを好きにしてたんだと思う。彼氏に嫉妬しながら。
 その感情のぶつけ方が、たまらない。

 でも、行為は激しいのに、終わった後は相変わらず“先輩、後輩”。すぐにあたしのペースになる。

「旦那は気づいてない?」
「うん。大丈夫だよ」
「旅行行けない?」
「うーん、一泊なら、あの人の出張中に。スケジュール聞いておくから、それからね」
「温泉入ってゆっくりしたい」
「うそ、あたしを一日中おもちゃにするのが目的でしょ。全然ゆっくりなことない」

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