double cross 《Satomi-SIDE》 Part01

2010.04.06 Tuesday 18:40
yoshino



「お前ら、喧嘩でもしてんのか?」佐伯課長が心配してる。

「いえ、主人から残業を減らせないかといわれて…」
「いよいよ子供でも作る気か」
「課長、それ半分セクハラ」
「セクハラで上等だ。訴えても払うカネないぞ」
「えーっ、おカネ持ってそうなのになー」
「3人もガキいて、カネなんかあるかよ。お前も子供はほどほどにしとけ」

 課長は軽口を叩きながらも、あたしの申し出を受け入れてくれた。

     ×     ×     ×     ×


220 名前:double cross《Satomi-SIDE》 投稿日:2010/03/31(水) 14:13:21 ID:fQlPSnsr [4/4]
 その日、課に残ってたのは、また黒木くんとあたしだけ。
 時計が8時を回った頃、黒木くんがいった。

「この間は、すいません」
「……」
「俺、酔ってて。でも、大学時代に先輩のこと好きだったのはホントのことで」
「知ってるよ」

 黒木くん、あたしにダイレクトに返されて、顔真っ赤になってる。

「先輩にまた会えてうれしかったんですけど、“成瀬さん”って聞きなれない苗字で呼んでると、昔好きだった人を
 奪われたような、おかしな気持ちになって…」

 こういう甘酸っぱい感覚は長らく忘れてたので、くすぐったいし、正直なところうれしい気持ちもある。
 ただ、ヤバイ雰囲気になりそうというか、彼の切羽詰った顔見るのが何となく辛くて、背中を向けた。

「これからあたしの残業少なくなるし、二人だけで顔合わせる時間が少し減ったら、気持ちも落ち着くでしょ」
「先輩、異動になるって話も聞いたけど…」
「うん。そうなるかも」

 いい終わらないうちに、背後から抱きしめられた。
一年前のこと。
 あたしの勤めている会社に
「黒木くん!?」
「タクシーの中で言ったの、あれ本心ですから」
「ちょっと離して」
「俺の知らない誰かに先輩が抱かれてると思ったら、気が狂いそうです」

 無理やりあたしを振り向かせてキス――。
 顔を背けても、何度も何度も唇を奪われた。

「やめてよ!」

 顔を固定されて、耳を甘噛みされた。
 首筋を這うように指でなぞってくる。

「首と耳、弱いんですよね? 久坂先輩から聞いて知ってますよ」
「ちょっと、やだっ」

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