double cross 《Satomi-SIDE》 Part02

2010.04.06 Tuesday 18:39
yoshino


 佐伯課長が処理して、退職という流れが最初っからできてたみたい。

 あたしは、居ずらいながらも、出社している。
 すぐにでも転職したかったけど、旦那に対して仕事を変える納得のいく理由を探していたから。
 課長に負けたくない、って気持ちもあった。

 佐伯課長はいい人の仮面を被りながらも、あたしにアプローチしてくる。
 一度だけの約束だったのに、脅迫めいた誘いは続き、泣く泣く何度か抱かれた。
 嫌悪感はすごいのに、抱かれるたびに感じる自分を抑えることができない。
 二度目には、指じゃなくて、挿入されて潮を吹かされた。初めて体験した背面騎乗位。

「成瀬のハメ潮だ」

 そんなものがあるなんて、全然知らなかった。
 課長の前で、あたし自身も見たことのない恥ずかしい姿を何度も晒した。

     ×     ×     ×     ×


291 名前:double cross《Satomi-SIDE》 投稿日:2010/04/03(土) 16:42:58 ID:dovGPrJf [23/24]

 グズグズと時間だけが過ぎた――ある日。
 旦那に「話がある」といわれ、突きつけられた緑の紙。

「――これって…!?」

 あたしは息を飲んだ。

「嫁を寝取られた亭主が、傍観しているとでも思ってたのか」

 添付された書類、あたしと、黒木くんと佐伯課長に関する興信所の調査報告書。

「惚れて一緒になった女がどこか変われば、気づくよ。俺がお前を一番長い時間見てきたんだから」

 たしかにあたしは変わっていたのかも。
 夜は夫にも抱かれていたし、うまく演技してるつもりだった。
 でも、減らすといった仕事も減らさず、それまで付けなかった上下セットの下着も増えた。
 家事もおろそかになってたかもしれない。冷静になって振り返れば、主人が異変に気づく余地はあったんだ。

 生まれてはじめて、本気で泣いた。
 黒木くんとの関係は、想い続けてくれた彼の気持ちを利用して、あたし自身を与えることで彼をコントロールするゲームだった。
 課長とは本意ではなく、関係を迫られてのものだった。
 ありとあらゆる言い訳が口をついて出たけど、何を言っても自分でも空々しく聞こえるだけで、夫の心に響くわけもない。
 最後は言い訳もやめ、ただ詫びて、離婚届に判を押した。

 主人にいわれたのは、「許す。だけど、もう二度と会わない」。

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